平成19年11月5日(月) JR奈良駅付近の「なら100年会館」において
女房装束では「大腰袴姿」、「十二単」、「小褂(袿袴道中着)」
男性装束では「束帯」「直衣」「狩衣」、そして「御小直衣」などの宮廷装束の着装を御披露しました。
そして今回は奈良での講演にちなみ、現在では貴重な装束となりました 「禮服」を御目にかける運びとなりました。
十二単の着装を行います。
「お方」の姿は「大腰姿 (おおごしすがた)」と呼ばれる、江戸時代後期の上級女官の普段着です。
「礼」はお服上げ始めと終わりに「お方」に対して行います。
この際、始めの「礼」では手を膝の上に置きます。
これから「お方」さまの装束を扱うため、地に手を置いては礼儀を欠くからです。
お服上げの最後に檜扇をお渡しし、「お方」への「礼」を行い、十二単のお服上げが完了します。
お服上げを行った衣紋者の装束は小袿です。
小袿(道中着姿)の衣紋者が下がり、それぞれの十二単の解説を行いました。
十二単を身につけて、何気なく「お方」が座っておりますが、こういった姿勢の変化にも、着崩れせず、
「お方」がお楽なようにお服上げすることが、衣紋道のあるべきすがたなのです。
重ね色目や文様の違いも、複数の装束を同時にご覧いただくことで、よりご理解いただき易いのではないでしょうか。
衣紋道髙倉流二十五世宗家 髙倉永満による講話の様子です。
衣紋の家である「髙倉家」のご説明から、日本の歴史のなかでの「有職故実・衣紋」の流れをお話いたしました。
ここから男性装束の部に入ります。
正装であり、代表的な装束でもある「束帯」のお服上げを行いました。
向かって右が「冬の束帯 縫腋袍」です。
現代では、もっとも目にすることの多い束帯といえます。
向かって左が「夏の束帯 縫腋袍」です。
冬の束帯よりも織が軽く、また夏の袍は下の装束がうっすら透けて見え、見た目も涼やかです。
中央の「夏の束帯 闕腋袍」の背中です。
袍の腋から「半臂(はんぴ)」がのぞき、下襲や表袴が透けていることがお分かりでしょうか
闕腋袍は主に四位以下の武官の装束となり、太刀を佩くだけでなく、弓を右手に持ちます。
写真は「平胡? (ひらやなぐい)」を解説しているところです。矢の扱いなどにも決まりがあります。
*注・・・「ひらやなぐい」の三文字目は竹かんむりの下に録 という字です。
たかくら会では初めてのご披露となる「禮服」の装束です。
衣服令で定められた「禮服」・「朝服」・「制服」のうち、儀式服として定められた装束です。
「禮服」装束のなかで、特徴となるのは「禮冠 (らいかん)」と「玉佩 (ぎょっぱい)」でしょう。
「綬 (じゅ)」という帯を胸高に結んび、「玉佩」という飾りを下げます。
つま先の高い靴を履き歩くことで、「玉佩」の玉にあたり美しい音をたてます。
手には「牙笏 (げのしゃく)」を持ち、飾太刀を佩きます。
幕引きに、衣紋道髙倉流二十五世 髙倉永満(後衣紋者)と若宗家 髙倉永佳(前衣紋者)による
「御小直衣 (おこのうし)」のお服上げを行いました。
若宗家は狩衣に風折烏帽子の姿です。
冠は「御金巾子 (おきんこじ)」の冠です。
明治以降から「御小直衣」のときの御料となりました。
以上を持ちまして「奈良 たかくら会」を閉幕させていただきました。
お越しくださった皆さまには、たかくら会を代表いたしまして、あらためてお礼申し上げます。