平成24年たかくら会 岐阜

平成24年5月13日(日) 岐阜県にある長良川国際会議場さらさーら において
平成24年たかくら会を開催いたしました。

平成24年たかくら会 岐阜 プログラム

第一景 桐壺帝ご即位

たかくら会 岐阜はいままでのたかくら会とは少し趣向を変え、第一景から第三景までは先輩女房が、御所にあがったばかりの新米女房へ解説するという形式で進めて参りました。言葉もくだけた平易なものを用い、少しコミカルな会話を織り交ぜることでご来場の皆様にご理解頂きやすいものといたしました。続く第四景の加冠の儀ででは、従来通りのナレーションにて解説を織り交ぜ、厳粛な有職の世界を感じ取って頂きました。敷居高く感じられがちな有職の世界ですが、このたかくら会を通じて少しでも親しみやすく感じて頂けたならば、望外の喜びとするところです。

第一景は即位の儀式に参列するために参内した大臣を演出いたしました。
前半は8人の随身に守られて登場する大臣の姿を演出しました。随人の「ヤアーオー」という先払いの声を聞いた殿上人が、大臣を迎え入れるために出てきます。大臣は8人の随人に守られ、召使に裾を持たせて登場いたします。
続く後半は、即位式に参列するため大臣が禮服に御召し替えになり再登場いたします。ゆっくりと歩くたびに、礼服につけた「玉佩(ぎょっぱい)」という金物の鳴り音が舞台上に響きます。静かな舞台に響く玉佩の鳴り音もまた、本公演での見所の一つです。

参考: H22 たかくら会 東京 第一景 桐壺帝即位式当日

第二景 光君誕生


第二景は光君誕生を演出いたしました。前半は光君誕生を祝って帝は、桐壺の更衣の里へ若宮の守り刀となる「御佩刀」と「産湯の細長」を授ける場面を演出しました。後半は産湯の儀・読書鳴弦の儀を演出しました。新生児が産湯を使うときは「魔物」が憑りつきやすいと考えた平安時代は、お湯の中にひそむ魔物を「虎」や「犀」で驚かせて退散させようと、産湯の桶に「虎の頭」や「犀の角」を交互に映しました。平安時代、出産にあたっては、部屋の調度品はすべて白い色に統一され、また、お産をする人々も、みな真っ白な服を身にまといました。舞台に登場する几帳が白色なのもまたこのためです。

参考:
H22 たかくら会 東京 第二景 光君誕生の日
H23 たかくら会 名古屋 第二景 産湯・鳴弦の儀

また産湯の儀にあわせ読書・鳴弦の儀を行いました。読書の儀とは難しい書物の一節、或いはめでたい一節のいずれかを声をあげて何度も読みます。これも魔物が近づかないようにする為だと平安時代の人は信じたのです。鳴弦の儀とはその名の通り「弦を鳴らす」行為で、弓に矢をつがえないで弦を放つ動作は、忍び寄る魔を威嚇するために行います。平安時代には天皇御入浴の際にも、蔵人という秘書役の者が鳴弦を行いました。たかくら会岐阜では過去のたかくら会最大の10名の随身で鳴弦の儀を行いました。場面の途中では、ご来場の皆様とまたそのご家族様の健康を祈念する鳴弦を行い、会場の皆様にお喜び頂きました。

第三景 藤壺入内・衣えらび


第三景は藤壺入内・衣えらびを演出いたしました。入内した先の帝の四の宮(藤壺)が、儀式でお召しになる衣の色えらびを行う場面で、
たかくら会でははじめての演出となりました。手に袿をもった女房達がつぎつぎと舞台に現れ、掌侍(ないしのじょう)の手招きにしたがって3人の女房へ着せ重ねていきます。
「次は紫・・・いいえ萌木かな・・・?」
「二ツ色にしてみたらどうかしら・・最初は萌木それとそれ。次は黄色二つ。そして紫ふたつ」
「単は紅。そのうえに淡青、その次は濃青、次は黄色、次は朽葉、次は紅。」
次から次へと衣を広げながら、舞を舞うようにして3人の女房へ衣を着せ重ねていく姿はまさに優雅の一言です。

源氏物語で 「かかやくひの宮と聞こゆ」 と記される藤壺の衣えらびはきっとこのように華やかであったのだろうと想像させられます。やがて色あわせも終わりますが、今度はどの重ねがいいか決めることができません。皆が意見を言い合い舞台上はガヤガヤとした雰囲気です。そこで会場の皆様にご協力いただき、拍手をもって選んで頂きました。
完成した色あわせは、紅梅の匂い、紅葉のいろいろ、二ツ色・・会場からは紅梅の匂いにわずかに多くの拍手があがり、日の宮の重ね色目は紅梅の匂いに決定いたしました。会場の皆様も一体となってお愉しみ頂けた場面となりました。

第四景 光源氏元服

第四景は光君の加冠の儀です。
加冠の儀とは男性の成人式にあたります。子供の髪型である「みずら」を解き、頭の上に
「髻(もとどり)」を作り、そして冠を加えるというものでした。
光君の冠を加える左大臣と、光君の髪の髻をとる大蔵卿とが座に着くと、最後に光君が登場し、冠者の座へ進み着座します。いよいよ加冠の儀が始まります。
大蔵卿は、光君のみずらを左から解き、右のみずらも解いて、御髪を櫛で整えます。そして小刀で御髪の先を切ると、「小元結(こもっとい)」という細い紐を用いて、光君の頭に髻を作ります。その髻を、こんどは左大臣が紫色の緒で結わえます。そして左大臣は、光君に冠を加え、儀式は無事終了します。
参考: H22 たかくら会 東京 第四景 加冠の儀

冠を加えて「大人」となった光君は、装束を子どもの闕腋袍から大人の縫腋袍へと改めるために、下侍の間へ移動します。大人になったばかりの光君は、この時まだ何の位も持っていませんでしたので、位の無い人が着る黄色の上着を身に着けています。平緒で太刀を着けた光君は、扇も大人の檜扇に持ち替え、その姿で長橋から清涼殿の東の庭へ降りる場面へと移ります。庭に立った光君は、今日の晴れの儀式を上げてくれた父である帝に向けて、感謝の志を示すために、「拝舞(はいむ)」という御礼の舞いを行います。言葉で感謝の気持ちを伝えるのではなく、動きによってその意を示す拝舞は、繊細で大変  に美しいものです。平安時代の大宮人の感性をうかがい知ることがでる所作です。

光君の拝舞のあと、左大臣と大蔵卿も庭に降りて帝に拝舞を行います。そこで帝は左大臣に向けて御歌を詠まれます。
いときなき はつもとゆひに 長き世を 契る心は 結びこめつや
それに答えて左大臣も歌を返します。
結びつる 心も深き もとゆひに 濃きむらさきの 色しあせずは
加冠の儀も滞りなく終わり、帝の心は光君の結婚の儀に向かっているようです。
第四景はそんな余韻を残しながら、静かに幕を閉じます。

フィナーレ


第四景が終了した後、全員で客席へ礼をいたしました。これをもちまして平成24年度たかくら会 岐阜を閉幕いたしました。たかくら会 岐阜では1,300の座席を準備し、過去最大数のお客様にお越しいただくことができ ました。改めて御礼申し上げます。今後も有職の世界をより身近に感じて頂ける企画を考えて参ります。誠にありがとうございました。

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