源氏物語プロジェクト

プロジェクトのご紹介

有職文化研究所は、有職文化の研究機関として、主に宮廷装束・衣紋道の研究に携わっています。
「衣紋道」は、十二単や束帯などの宮廷装束を中心として、平安時代末期の花園左大臣源有人以来800年あまりの伝統を有し、またさらに「有職故実」は、平安時代中期にまで遡って1000年以上にわたる学問でもあります。
21世紀を迎えて 当研究所では以下の企画を実行いたします

●古典文学に見られる日本文化に伝統的な色彩感覚が現代の日本にも息づいていることを検証する
●上記を通じて、日本文化に固有の自然観を再認識する
●ひいては、環境保護の重要性の再認識を呼びかける契機とする

「計画の趣旨」はこちらから


活動内容

◇装束・調度の復元

復元テーマ「柏木 二」(案)

復元にあたっては『源氏物語』の世界を視覚的に表現した『源氏物語絵巻』に範を取り、「柏木 二」をテーマとしてその装束および調度品類を、絵に忠実に実物で再現します。

復元品目

柏木の養生装束
烏帽子・衾・袿(3着)・単・枕

夕霧の直衣装束
冠・直衣・衣(2着)・単・指貫・下袴・檜扇

女房五人の装束
唐衣・裳・表着・打衣・五衣・単・長袴(各5着)

室内の調度
御簾(2間)・壁代(2間)・几帳(3脚)・屏風(1双)

制作完成
各品目を順次復元してゆき、天皇陛下御在位20年となる2008年(平成20年)に完了予定。


◇復元品・関連物の展示

上記品目の制作の完了次第、展示会を開催します。会場は国内数箇所を予定して、巡回展示します。
上記品目の展示に際しては、「柏木 二」の絵を復元する形で展示します。
また、上記各装束以外にも、束帯・衣冠・小褂などの代表的な宮廷装束各種を、関連物として同時に別途展示します。

◇展示物に対する解説

上記展示会に際しては、展示品目それぞれに関する解説を作成します。
解説は、各品目の名称・構成・色目・文様・織物種などとその意義、およびそれらが各種行事や日常生活において用いられるときの用途や意義などを、わかりやすく文章化します。
復元品目のほとんどは現代においても皇室行事をはじめとする各種の行事において用いられています。また、当時の宮廷の人々の日常生活に見られる習俗の中には、形は変わっても現代の民間の風俗につながるものも少なくありません。これら行事の沿革も含めて、日本文化における自然と人間との関わりを解き明かしてゆきます。


◇復元過程の映像記録

装束類の復元にあたっては、それぞれの過程の要点を映像に記録してゆき、のちに公開します。
中古から中世にかけては文化における伝統的規範意識が現代に比べて強かったために、宮廷の装束類に関する記録も残されていて、各装束の形態そのものはわかっています。しかし実際にこれらを復元するとなると、素材や制作方法の上でいくつもの点を十分に考慮する必要があります。
制作の過程では、「糸の選定」にはじまって「紡績」・「染色」・「機織」・「裁断」・「縫製」など数多くの工程を経ることになります。これらをできるだけ緻密に記録してゆきます。
映像記録にあたっては、有職文化研究所のこれまでの活動を通じて交流のある関係各方面にも呼びかけ、テレビ番組化・DVDソフトウェア化などを視野に入れて、最終的には広く閲覧に供します。

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