平成23年たかくら会 名古屋

平成23年4月24日(日) 愛知県名古屋市にあるウィンクあいちにおいて
平成23年たかくら会を開催いたしました。

平成23年たかくら会 名古屋 プログラム

 第一景 光君誕生

第一景は光君誕生を演出いたしました。
光君誕生を祝って帝は、桐壺の更衣の里へ若宮の守り刀となる「御佩刀」と「産湯の細長」を授けます。
写真は露払い役を務める男が、桐壺の更衣の里に到着し、屋敷に仕える女の童に用件を伝えている場面です。
露払い役の男は肩身替水干を、女の童は汗衫(かざみ)を着装しております。

程なくして勅使の護衛を務める随人が到着いたします。随人とは身分の高い人を守るための武官のことです。
随人は藍で染めた縹色の「褐衣」を着装し、背中には矢を盛ったやなぐいを背負い、右手には弓を持っています。縹色の上着には獅子の丸い紋、または熊の丸い紋を摺りつけています。これは身分の高い人の左を守る随人は獅子の丸を、右側を守るものは熊の丸を用いました。丸い形を「蛮」というところから、随人の大きな丸い文様のある上着は「蛮絵の袍」とも呼ばれました。

随人に守られ到着した勅使が、帝からの宣旨を読み上げているところです。
勅使とは帝からの使者のことです。今回は大納言が遣わされましたが、その身分に相応しく黒色の袍を身につけた束帯姿で、平緒という美しい帯で太刀をつけています。
続く赤の袍を着装した束帯姿の殿上人は、帝から若宮に賜る「御佩刀」と「産着の細長」をささげ持っています。
白の十二単を着装しているのが家の女房たちです。平安時代、出産にあたっては、部屋の調度品はすべて白い色に統一され、また、お産をする人々も、みな真っ白な服を身にまといました。舞台に登場する几帳が白色なのもまたこのためです。

第二景 産湯・鳴弦の儀

第二景は産湯の儀をご披露いたしました。
新生児が産湯を使うときは「魔物」が憑りつきやすいと考えた平安時代は、お湯の中にひそむ魔物を「虎」や「犀」で驚かせて退散させようと、産湯の桶に「虎の頭」や「犀の角」を交互に映しました。
写真は直衣を着た殿上人が、第一景で帝より賜った「御履刀」を捧げ持ち、「虎の頭」と「犀の角」を白木の平敷にのせて持っているところです。白の十二単を着装しているのが家の女房で、腕には産まれたばかりの若宮が抱かれています。

また産湯の儀にあわせ読書・鳴弦の儀を行います。
読書の儀とは難しい書物の一節、或いはめでたい一節のいずれかを声をあげて何度も読みます。これも魔物が近づかないようにする為だと平安時代の人は信じたのです。
鳴弦の儀とはその名の通り「弦を鳴らす」行為で、弓に矢をつがえないで弦を放つ動作は、忍び寄る魔を威嚇するために行います。平安時代には天皇御入浴の際にも、蔵人という秘書役の者が鳴弦を行いました。
読書を行う殿上人は黒の縫腋袍の束帯姿をしております。鳴弦を務めるものは、黒と赤の闕腋袍の束帯を身につけた武官です。

写真は弦を引く武官の姿です。
鳴弦弓をかまえ、「オヲ」と言い弦を打ちます。震える弦の振動が場を清めるようで、舞台により一層の厳粛さが加わります。
その後の几帳には、若宮を産湯につける女房たちの影が映っています。

現在、皇室では「産湯の儀」は誕生後、御七夜の一度だけの行事となっています。
平安・鎌倉時代には誕生後の七日間は、朝と夕の日に二回「産湯の儀」が有り、読書鳴弦の儀がありました。
産湯の桶に「虎の頭」と「犀の角」を写しこみながら、読書・鳴弦が共に三度繰り返され儀式は終了します。

第三景 着袴の儀

第三景は着袴の儀をご披露いたしました。
着袴の儀とは現在の七五三にあたる儀式で、今回は深曽木の儀とともにご覧頂きました。

めづらかなる児の御かたちなり この君ををば 私物に思ほしかしずきたまふこと限りなし
・・・この皇子三つになりたまふ年 御袴着のこと 一の宮の奉りしに劣らず 内蔵寮・納殿の物を尽くして いみじうせさせたまふ (源氏物語)

帝の光君に対するご寵愛はなみなみならず、光君の着袴の儀は先の一ノ宮のときにも劣らぬように財物のありたっけを用い盛大に執り行われました。第三景は多くの装束着装者が居並び儀式をより一層艶やかに演出します。

中央に立っているのが光君です。
子供の着る濃色の袴を着け、その上に紫色の指貫を重ねます。写真は濃色の袴を着けたところです。この後、半尻という上着を着け、右手に横目扇、左手には根引の松を持ち、碁盤の上に立ちます。
また碁盤の上には吉方に向かって二つの青い石がのっています。この石は本日の儀式のために陰陽師が前もって吉日を選び、良い方角に歩いて行って最初に見つけた二つの青石を用います。青色は「吉方」である東を示し、また若々しい春の色でもあるので、この儀式に用いられました。

碁盤の上に乗った光君の右の髪を櫛で三回、笄で三回、心の中で「千ひろ 百ひろ」と唱えて梳きます。右の髪が終わると、左の髪も右の髪と同様にします。

平安時代、黒々とした長い髪は美しい健康の証でした。「千ひろ 百ひろ」というのは、髪の毛が「長く長くなれ」と言っているのです。また碁盤に乗るのは、子供の背丈を大人に近くするためでありました。

髪の毛の所作が済むと、碁盤吉方に置いてある青石二つを、左右の足の親指と人差し指で踏んでから吉方におります。
「エイ」と声を出して碁盤から飛び降りる光君の可愛らしい姿に、会場からも笑い声が聞こえて参りました。

この後、きょうのめでたい「着袴の儀」に奉仕した殿上人に、帝から「ごほうび」である録の袿が授けられます。一人の殿上人が代表して庭に降り、帝に録のお礼の拝舞を行いました。

この皇子のおよすけもておはする 御かたち心ばへ ありがたくめづらしきまで見えたまふを えそねみあへたまはず ものの心知りたまふ人は かかる人も 世に出でおわするものなりけりと あさましきまで目をおどろかしたまふ (源氏物語)

着袴の儀に臨む成長したく光君の姿を、「世間に類なく愛らしく誰も妬むことはできない。道理を理解する人は、このような人もこの世に生まれ出るものかと驚くばかりだ」、と源氏物語には記されています。今回の装束劇を通じて、そんな光君の姿にも思いを馳せていただくことができたなら幸いです。

フィナーレ

これを持ちまして平成23年度たかくら会 名古屋を閉幕いたしました。
閉幕にあわせ全員で礼を致しました。

ご来場頂きました皆様へは心から御礼申し上げます。
誠にありがとうございました。

今回の取り組みが25日の中日新聞名古屋版と、翌日26日の岐阜全域版にと2回記事が掲載されました。

4月25日の中日新聞にて「たかくら会 名古屋」が紹介されました


平成23年4月24日、愛知県名古屋市にある「ウィンクあいち」においてたかくら会 名古屋を開催いたしました。25日の中日新聞名古屋版と、翌日26日の岐阜全域版にと2回記事が掲載されました。

本年は源氏物語桐壷の巻より、産湯の儀と着袴の儀を題材に選び、皆様にご披露いたしました。
昨年のたかくら会より小さい配役となった光君をご笑覧頂き、ご観覧者様には愉しいひと時をお過ごし頂きました。
※ 詳細は後日、掲載いたします。

平成24年たかくら会 岐阜の告知

お問合せ先
有職文化研究所 (TEL 03-5386-0771) 詳細は決まり次第発表して参ります。たかくら会 名古屋 どうぞご期待ください。

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